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  • 公開日時 : 2010/09/13 18:24
  • 更新日時 : 2021/01/29 13:52
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JASRACはiPod等にも補償金をかけるように要望しているそうですが、それはどうしてですか?

回答

私的録音補償金の支払の対象となるのは、デジタル方式の録音機器と記録媒体(ディスク等)のうち政令で指定されたものです。1993年の制度スタート当初にDAT、DCC及びMDの3方式の機器・記録媒体が指定され、1998年にCDレコーダー(機器)とオーディオ用CD-R/RW(記録媒体)が追加されました。

現在、iPod等の携帯用音楽プレイヤーが急速に普及し、MD等からのユーザーの移行が進んでいますが、iPod等が政令で指定されていないため、私的録音の実態は減っていないにもかかわらず私的録音補償金の額が減少し、権利者への「補償」の機能は低下しています。

補償金制度は、私的録音・録画が質・量ともに立法当時(1970年)の想定を超えて著作権者の利益を害する状態になっていることを踏まえ、ユーザーの利便と著作権の保護とをバランスさせる見地から、私的録音・録画の自由を維持する代償として導入されたものです。

こうした制度導入の経緯からすれば、私的録音・録画問題の解決法は、
 ①補償金制度を廃止するかわりに私的録音・録画を自由としていること自体を見直す
 ②私的録音・録画の自由を維持するかわりに補償金制度を機能させる
のどちらかということになります。

①はこれまで自由だった私的録音・録画を著作権者に無断ではできないようにするということを意味します。デジタル技術によってコピーする都度課金することが可能なので補償金は廃止すべき、という議論がありますが、補償金制度に代わることのできるような技術は世界的に見てもまだ存在しません。仮に将来、技術によってデジタル録音のコントロールが可能な状況になったとしても、こうした解決法はユーザーの利便より著作権の保護を優先するものにほかなりません。ユーザーの利便と著作権の保護とをバランスさせることを目指す②のほうが現状では優れた制度なのではないでしょうか。

JASRACを含む著作権者の団体は、このような考えに基づいて、iPod等の携帯用音楽プレイヤーを私的録音補償金の対象にするよう要望しています。

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